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2024.03.04

移住者インタビュー(小澤 俊之さん)

尾花沢市に縁あって移住され、自分らしく暮らしているみなさまにご協力いただきました。
今回は、令和5年4月に県外から移住された 小澤 俊之さん の生の声をお届けします。

―今日はお忙しいところインタビューにご協力いただき、ありがとうございます。早速ですが、移住について考えはじめたきっかけについて、お聞きできればと思います。
前職は営業職でした。当時、それまでの会社をそのまま勤めあげるのか、はたまた自分がやりたいことを生業として稼いでいくことにするのか。ちょうど考えるべきタイミングだったと記憶しています。
前の会社をもう一年続けていたら、そのまま辞めないで勤めあげる役目を担うことも考えていたともいます。東京で会社勤めをしていると、人間関係に疲れたり、いろいろな重圧もかかってきたり……。辞めるか、続けるのか。瀬戸際のタイミングだったなと思います。

―ターニングポイントはもう一年続けるか否かにあったわけですね。移住先を尾花沢に決めたキッカケは何だったのでしょうか。
母が秋田県由利本荘市の出身で、幼少期から母方の実家に行く機会が多かったんです。かなりの田舎で、特に何をしたということはなかったのですが、チョットしたおもちゃで遊んだり、見渡せば畑や田んぼばかりなので、川に行ってみるなど、シンプルな遊びが中心でしたが訪れるたびに「とても楽しい!」と思っていました。そんな原風景に強い親しみを感じつづけており、いつかは地方に移住してみたいと思い続けていたんです。
尾花沢以外にも、石川県金沢市などの説明会に参加したりして、全国各地に候補地はあったのですが、妻が尾花沢出身というのが一番大きかったです。

―実際尾花沢に来てみての、第一印象はどのようなものでしたか。
「皆さん、やさしいな」というのが第一印象でした。
距離感が東京の人と比べて近く親身になってくれます。
例えば隣組の人達に挨拶に行った時も、「雪大変だけど頑張ってね!」とか優しい言葉を掛けてくれたので、気持ちが救われました。

―職場や仕事の面ではどうですか。
農業経験が全くなく、知識も何もない状態でなにができるのだろうと、不安でした。農業研修生として、寒河江市にある園芸農業研究所にお世話になっているのですが、皆さん本当にいい方ばかりで「よく来たね」と暖かく受け入れてもらえましたし、「教えられることは何でも教えるよ」と声をかけていただきました。自分は人に恵まれているな、と強く思っています。
最初の頃は職員の方がおこなっている管理に交ぜてもらって、簡単なところから始めました。例えば、バラだったら脇芽を取る「芽かき」の作業をやったりなど。単純な作業から少しずつステップアップさせてもらって、今は収穫もできるようになりました。できることが増えてくる実感があります。植物の生長の仕組みは、OJTで学んでいます。「ここはどうなんだろう」と抱いた疑問は、その時一緒にいる人に尋ねたりしています。
僕が最終的にやろうとしているのは多肉植物の生産者として生計を立てることなので、日々勉強の毎日です。

―多肉植物ですか!チャレンジングな作目ですね。どういう勉強をされているのですか?
野菜花き部では花の育成の基礎を学んでいます。そこで学んだベースの部分は多肉植物にも通じるので、本当に勉強になります。現在はバラとアルストロメリア(百合水仙)の2つを研修先の職員の方々に交じって扱っています。水のタイミングとか、日照時間によって葉やけしそうな光量だから遮光してあげた方がいいよとか、基本的なことを教えてもらっています。バイオ育種部では多肉植物の組織培養が主な研修課題でした。所有している苗を持ち込み、試行錯誤しながら培養に挑戦しまして、最終的に葉っぱ3枚から100株近くの苗に成長させることができました。栽培中の多肉植物 栽培中の多肉植物

―花きの栽培は我々には完全に未知の世界で、聞いているだけで楽しそうです。すべての工程に学びがありそうですね!すいかで成功した新規就農者の皆さんと全く同じプロセスを辿っていることが分かります。みなさん自分なりの考えをキチンと持って、休憩時間などで師匠にあたる人を質問攻めにして学びを得たのちに、自分の作戦や戦略を練ることができるようになっておられました。
そうなんですね。私も、質問や疑問などを沢山ぶつけています(笑)。先輩方も質問大歓迎の姿勢で、いろんな経験を基に教えてくださいますし、直接経験のない多肉植物の栽培についても「おそらくだけど」と前置きをしながら、こういったやり方がいいのではと皆さんが惜しみなくアドバイスをくれます。だから僕も遠慮なく尋ねることができますし、それに応えてくださるのが本当にありがたいです。

―そもそも、多肉植物の栽培を志すきっかけはあったのですか?
以前勤めていた会社の先輩が多肉植物を育てて販売しているんです。その人に多肉植物の話を聞いて、面白そうだなと思いました。試しに何個か購入してみて、育ててみたら愛着が湧くんですね。そこからドンドンのめり込んでいきました。東京のアパートの1室で、ラックに3段ほどでこじんまりとやったのが始まりでした。自分なりに土の配合を変えたり、交配させたりしていました。

―東京にいた頃と比べて、仕事やライフスタイルに変化は生じていますか。
全く違います!前の会社の時はルーチンワークでした。それが今はルーチンがないわけです。自分で明日・今週、何をしようかザックリと頭の中でスケジュールを組み立てて、その都度緻密に組み立てなおしています。自分が好きな作物に触れることで、癒しや生長の喜びを感じることができることは非常に大きな変化だと思います。
ライフスタイルについては時間にゆとりができたので、奥さんと一緒に過ごす時間が長くなったことが、東京との一番の違いでしょうか。東京にいる時は、一緒に過ごす時間が少なかったので、それも移住したことの大きな理由の一つです。

―尾花沢のいいところはどこでしょうか。
環境的には「空気がきれい」ですし、「水もおいしい」です。果物や野菜など、季節の作物がハッキリしていて楽しいです。スーパーの生産者コーナー等を見ると、今の旬を感じることができます。地方ならではのことであり、とても魅力的に感じています。
また、高い建物がなく、遮るものがないので、空が見上げやすいです。信じられないくらい空がキレイで、それだけでストレスって減るんだなと感じています。

―尾花沢の好きな風景は、ありますか?
僕は国道347号を市内中心部に向けて向かう際、尾花沢インターへ繋がる長い下り坂から見える景色、特に晴れている時がお気に入りです。毎日、研修で寒河江に向かう時に通りますが、いい景色だと思っています。

―仕事をしていて、いま、楽しいと感じていることは何でしょうか。
今後のビジョンが出来上がりつつあります。いま、1500株ほど育てています。それをどんな場所で、どんなやり方で販売していくのか。どうやって売上を得て、どうやったら生活していけるのかなと。そのビジョンが具体化していくと、勝手に身体が動いてくる。
4月からは生産者として、自分で生計を立てていくことになります。それには、植物のイベントに出展したり、ECサイトで販売したり。そういった販路についてもイメージが少しずつ具体的に固まりつつあります。
あとは、そこに向かってやっていくだけです。そこも楽しみになっています。キッカケを作ってくれた先輩にはとても感謝しています。
上手くいく、いかないを含めて、これから農業経営の醍醐味を味わっていくことになります。そして、その判断をおこなうのは自分。ちょっと緊張していますけれど、それが楽しみでもあります。

―尾花沢に来て変わったな、と思うことはありますか。
これまでは自分のことにあまり深入りされたくないという感覚を持っていましたが、尾花沢に来てからは、逆に知ってもらいたいと思うようになりました。仲間はずれにされたらつらいですもん(笑)。自分からオープンにすることで、「懐に入れてください」のスタンスでいろんな人に接し、繋がりを作ってもらう。それを無意識におこなっていました。そうすることで、何かあった時に力になってくれる人が近くにいてくれる。初めてのことばかりなので、「これなんですか?」と尋ねることができるようになる。ここでは本当に皆さん親身に教えてくださいます。

―将来、チャレンジしたいことはありますか。
時間的に関わることができるか分からないですが、山ブドウの栽培をやってみたいです。すでにインターネットでワインを売ろうと思い、酒販免許を取りました。これからネットでワインを扱っていきますが、そこで自分が管理したブドウで作ったワインを、自社販売できたら面白いかなと。ぶどうには興味があって、特に山ブドウには興味があります。味ももちろん好きですが、辛口のワインに仕上げてみたいです。味わいやエチケットを含め、今のトレンドに合わせたものを創造できたら面白いなと思っています。

―移住を考えている人に、何かアドバイスはありますか。
なぜ移住したいのか、その目的は明確にしておいた方がいいかなと思います。例えば僕のように環境を変えて新しいことを始めたいとか。
それに対して、なんとなく移住してみたいなって、フワッと考えている人も多いと思います。「明確に何をやりたいのか」とかビジョンがハッキリしていた方が上手くいきやすいのではないかなと思います。その方が周りも手助けしやすいはずです。移住することが、全てを解決する万能薬だと勘違いしないことが大切です。「何かしよう」という自分の意識がないと何も変わりません。もちろん、資金の蓄えはあった方がいいですね。
また、都会から地方に移住する人は、ある程度の不便さを受け入れる必要があります。そして不便さを楽しめるようになった方がいいですね。

―ちなみに、不便さを一番感じたのは、どのような点についてですか。
僕は外食が好きなんです。いろんなお店にいって、「この味はおいしいね」とかを楽しみながら、週に何回かは外食して生活していました。そういった生活をしていたので、たまには手を抜きたい時とか、歩いて行けるお店がないし、車なので奥さんと2人で飲むこともできませんし。そこが些細ではありますが、ちょっと残念なところですね(笑)

―確かにおっしゃるとおりですね(笑)。今日は良いお話をたくさんお聞かせいただき、誠にありがとうございました。今後のご活躍を陰ながら応援しております!

こちらこそありがとうございました。これからも頑張ります!ありがとうございました!

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